レティクル座妄想
レティクル座行超特急 |
蜘蛛の糸 |
ハッピーアイスクリーム |
香菜、頭をよくしてあげよう |
さらば桃子 |
ノゾミ・カナエ・タマエ |
愛のためいき |
ワダチ |
ノゾミのなくならない世界 |
パリ・恋の都 |
レティクル座の花園 |
飼い犬が手を噛むので |
今回、紹介するのは筋肉少女帯の最高傑作(個人的に)であるレティクル座妄想です。
なぜ、最高傑作かというと大槻ケンヂの作り上げる文学的世界が全編で徹底されており、日本のバンドの中ではこれ以上とない最強面子のメンバーがそれを完璧に再現しているから。
さらにストーリーは表面上見えてこない、曲一曲、一曲にそれぞれテーマがあり、それを聴いていくうちに全体が見えてくるのです。

さらにもう一つ、橘高文彦の素晴らしい技がギターソロをとわず全編で炸裂しており、しかもそれが曲を壊すどころか、重要な聴き所になっているという点で本当にこのアルバムの橘高は素晴らしい。
先に聴き所を挙げておくと、蜘蛛の糸のイントロにおける、速弾きの重ね、香菜、頭をよくしてあげようにおけるギターオーケストレーション、さらば桃子のブリッジで聴ける低音域から高音域に上がっていく重ねのブリッジミュートコントロール、愛のためいきの中間部、ノゾミのなくならない世界全編で聴ける重ねののギターによるバッキングと三段スウィープによるギターソロ、レティクル座の花園における、ブライアンメイを彷彿させるギターソロにオーケストラ、橘高のプレイはもの凄いのでギターキッズも聴く価値がありますよ。

まず一曲目のレティクル座妄想、時計の邪悪な音からキャッチーともダークともいえる、ギターリフから曲が始まります。そして歌詞は自殺者だけが乗れるレティクル座行きの特急に乗っている主人公が中で少女と出会うという歌詞、少女はレティクル座でジムモリスンが水晶の船を歌って迎えてくれると言うが、謎の声が妄想であると告げてしまう。その後、少女達はレティクル座に着く前に罪を背負った人間、もしくはつまらない人間として、宇宙空間に突き落とされてしまいます。このストーリーをバックで支えるのは奇妙でポップなあくまでもバンドサウンド、気味の悪い悲鳴と笑い声とともに、
「大丈夫、大丈夫、大丈夫だよねえ。」と蜘蛛の糸が始まります、この曲は橘高のギターソロを含む、わかりやすいキャッチーな曲なのですが、歌詞は誰からも相手にしてもらえない少年がいつか復讐してやるという怒りを吐いたという内容です。
その次はハッピーアイスクリーム、女の子の声とユーモラスな歌詞が印象的なハードロックナンバーですが、実は人の死などの題材を扱っているという、物凄く深い曲です。
香菜、頭をよくしてあげようは橘高のギターオーケストレーションと優しいシンセ音が大槻の優しい歌詞にぴったりな名曲です。まあ後々、皮肉ともいえるような展開になっていくんですが。
なんと次のさらば桃子で上の香奈は自殺してしまうんですよ。名前は違うけど同一人物らしいんです。曲としては橘高のものすごいプレイがそこらじゅうで聴けるおいしい曲です。ハードロックナンバーとしてかなりの出来だと思いますよ。最高です。
次のノゾミ・カナエ・タマエは不気味なアルペジオと世の中の真理を物語で例えたような歌詞、なんていうか鬱っぽいというか、残酷というか、聴いてみないとわかりえない曲ですよ、これは。
愛のためいきは中間部に出てくるセリフや温かい雰囲気が印象的な小曲、アルバムを通して聴くときにとてもいいポジションにある曲ですね。
ワダチは中間部の意味深なセリフを言う男の話、オルガンを使った邪悪なイントロだけで最高と言えるほど素晴らしい曲です。
ノゾミのなくならない世界はノゾミの人生の話、皮肉やら真理やらいろいろなものが見えてきて、一様には解釈が不可能な歌詞です。曲はネオクラシカルなスピードチューンでゾクゾクするようなギターが曲を通して聴けます。
パリ・恋の都は恋人の亡霊とパリを行く話、変てこだけど、これぞ筋肉少女帯って感じの曲です。
俺的な解釈によるとレティクル座の花園で本編が終わります。この曲ですべてまとまっちゃうって感じです。死にかけた桃子が生と死の間をうろうろするという歌詞で、幸せだという桃子に対し、邪念が囁いてくるといった内容、曲は素晴らしいバラード、ツボですね。
最後の曲はボーナストラック的な曲で、メタルナンバー、歌詞は当時の大槻の心の病を形にしたような感じです。最後の「殺ったれ。」っていうコーラスがなんとも言えないです。
このアルバムに関しては聴いてもらわないとわからないんですよ。でも今までとは違う音楽の聴き方ができるCDであることは保障しますよ。是非手に入れて楽しんでくださいね。